ジコカイジ

self-disclosure‐‐‐乳がんのこと、仕事のこと、生き方のことを書いていくchisa/千祥のブログ。

近藤誠医師の患者だった私の顛末。

この記事は、2017年6月30日にフェイスブックにアップしたものの再掲載です。

私は2001年9月、34歳の時に左乳房の乳がんを罹患し、くりぬき法での治療を求め、

近藤誠医師のもとを訪ね、治療をしました。今年6月、右乳房に乳がんができ、

2017年11月現在、術後抗がん剤治療中です。

近藤誠医師と手術をしてくれたA医師のおかげで、満足のいく乳房温存ができ、再発もしていません。今回の右乳房のがんは、原発がんです。
現在の近藤誠医師については、彼の主張がいいとは思いません。

しかし2001年当時、くりぬき法での乳房温存療法を推進していた医師は少なく、

近藤医師とA医師のもとに行くしか選択肢がなかったのです。
その顛末を、小林麻央さんの記事とともに書いたものです。

 

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近藤誠医師の患者だった私の顛末。

16年前、どうしても乳房温存療法、それもくりぬきでしたかった私がセカンドオピニオンに訪ねたのは、当時慶應病院放射線科に勤務されていた近藤誠医師だった。近藤誠のところにセカンドオピニオンに行くと言ったら医者が怒る怒る。「君は絶対戻ってこないよ。口当たりのいいこと言われて近藤のところで治療するんだ。でも君は絶対10年後生きてないから。死んでるから」。

近藤先生は、持参した資料を見、触診をし、さらに提携している青山のクリニックにエコーに行かせたのち、で、どうしたいの?と切り出す。このまま経過観察だけする人もいる。僕の所にくる女医はほとんど経過観察だよ。手術するなら僕の友人の病院を紹介する。(慶應の外科とは反目していたので手術できなかった)。先生はどう思いますか?と聞くと、これはあなたの人生観、死生観の問題なんだよ。自分で考えてください。一度診察室から出されて考える時間をもらう。そうかそうだな自分の問題だな。私の人生観、死生観てなんだろう。本当のことを言えば手術したくないけど無治療で観察していくだけの度胸もなかった。1時間ほど考えたのち診察室に呼ばれ、先生のところで手術・治療することにしたと告げた。そうかわかった。すぐ紹介状を書くからO病院に行きなさい。先生、抗がん剤はどう思いますか?しないとだめですか?温存療法に放射線照射はマスト。放射線あてるのだから抗がん剤しないという選択肢もあるよ。僕は抗がん剤勧めないけど、それも自分で考えて。するとしても手術のあとだからまだ時間あるよ。では。

抗がん剤は最後の最後まで悩んだが、O病院のA医師が私のベッドサイドでぽつりぽつりと抗がん剤のメリットデメリットを話してくれた。君に効くか効かないか正直分からない。でも君は若いからやってみてもいいと僕は思うんだ。その様子にただごとじゃない熱意を感じてそうかじゃあやってみるかと。私は温存療法・放射線治療・抗がん剤の乳がんのほぼ標準治療を選んだことになった。結局この時の治療に満足している。

私は近藤先生の言ってることやり方すべてを支持しない。どうかと思うこともたくさんある。でも嫌なら断ることもできたし、標準治療を選ぶことも十分可能だった。また近藤先生の周辺に180度異なる意見を持ち、それをはっきり伝えるA医師もいたから、患者は考えた上でどちらを選ぶことも可能だったし、折衷案を編み出す患者もいた。正解はなくても自分の人生観、死生観に向き合える人、また180度違う意見を聞くのを厭わない人、盲信しない人、自分に都合のいいストーリー(切りたくない抗がん剤したくない)にしがみつかない人なら問題ないし、がんをきっかけに自分の人生を見つめ直すことができ、主体的に治療に向き合えるというメリットすらあった。A医師のような近藤先生と異なる主張を持つ人が側にいて初めて患者にとってメルクマールとなっていたのだ。

なんだかんだ言っても初回の治療は標準治療がいいと思う。ファーストチョイスとして標準治療を選べば後悔がない。オルタナティブな治療を選んで奏功しなかった場合の後悔は、無念だし痛まし過ぎる。

しかし経済的な自由度が高い人ほど高額なオルタナティブな方に引き寄せられてしまうのは、普段から人とは異なる金銭感覚をもとに生活し、特別扱いを受けることに慣れ過ぎてしまっているからか。いつも通りの感覚でチョイスするとオルタナティブに向かってしまうのは彼らのセオリーだから。人は下部構造に支配されている。

 

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